1. 少子高齢化による、雇用就農者が減少&人材不足
<日本の農業の現況>
- 基幹的農業従事者は、2003年の225.6万人から2020年の136.3万人へと17年間で4割にもあたる89.3万人が減少(農林水産省統計部)。新規就農者は2010年代に5~6万人を横ばいで推移。
- 農業従事者の高齢化率は69.6%に及び、少子化による後継者不足がさらなる労働力の激減を招き、産業の危機が深刻に懸念される。
- 農家の報酬は少なく、平均年収350万前後、ボーナスが無い場合は月に25万ほどといわれる。外国人技能実習生の活用に期待が寄せられるが、実質的に低賃金労働者として扱われる不適正事例が発生。
→農業を諦めない、人の手に代わる技術とは
2. スマート農業で省力化を実現
<収穫ロボットの技術開発>
- 農業ロボットの開発を手がけるベンチャー企業、inaho株式会社は2017年に鎌倉で設立。2021年に農作物のサイズと品質をAI判断する特許を取得した。
- その技術を活かして開発された収穫ロボットは、人がスマホアプリで圃場マップ内の収穫箇所を確認すると、自動で収穫する機能をもつ。作業分担はロボットが9割,人が1割のイメージである。
- 一般的に、スマート農業はイニシャルコストが通常の農機と比べて割高になり、使いこなすための実施者の育成が必要となる。
→投資回収のシミュレーションの改善に向けて
3.スマート管理自体の分かりやすさを強調
<展望>
- 多くの農業従事者にとって、高額投資に対して十分な成果を得る自信を持ちづらい可能性がある。費用対効果の見通しが立てにくい状況では、新しい技術のスケールメリットを獲得しづらいと考える。
- 農作業の身体負担軽減で離農を防ぐだけでなく、スマート管理自体の分かりやすさやサポート体制で導入のハードルを下げることが心理的に有効なのではないか。
- さらに、生産者を束ねるアライアンスがあれば、技術会社と情報を相互共有することで初期コストを抑える要素を作り出せる。企業は、現場の声から実用化や多様化を加速するだろう。
→スマート農業の力で自給自足を
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