地球温暖化防止に端を発し、世界的な動きとなったカーボンニュートラル。
これにより再生可能エネルギーに関連する設備の設置が急激に増加しました。
しかし、温暖化はとまらず、結果として電気料金は上昇し、
さらに売電期間を終えた設備の大量廃棄が懸念されています。
その後、食料由来の燃料であるバイオ燃料が開発されましたが、
これが広く普及するアメリカでは食料が高騰。
また、不作も相まって大きな社会問題となっていました。
そんな頃、東証マザーズ市場に「ミドリムシ(学名:ユーグレナ)」という名の
ユーグレナ社が上場し話題になりました。
事業を見てみると、その名の通りミドリムシを活用した健康食品や化粧品の販売のほか、
ミドリムシで燃料を作って飛行機を飛ばすことを目標としていました。
またそのミドリムシを培養する過程では、光合成を行って二酸化炭素を吸収し、
酸素を発生させることが謳われていたことを強く覚えています。
今回のSDGsレポート作成にあたって幾つかのテーマが浮かびましたが、
会社名・技術ともにインパクトが大きかったユーグレナ社を取り上げました。
ぜひ本レポートをご覧ください。
1. バイオ燃料用作物作成のために森林破壊が起きている
- 1990~2020年の30年間で世界の森林が1億7,800万ヘクタール減少した。これは日本の国土約4.5個分もの面積に相当する。
- トウモロコシや大豆、木質ペレットなど、バイオ燃料の原材料栽培を目的とした耕地開拓が過剰な森林伐採の一因として挙げられる。
- カーボンニュートラルを目指すバイオマス燃料推進が、地表での重要な炭素ストックである森林や土壌を破壊し、むしろCO2排出増加の要因となっている。
2. ユーグレナ由来の次世代バイオディーゼル燃料を試製
- 株式会社ユーグレナは、ユーグレナを活用した食品・化粧品の製造販売やバイオ燃料の技術開発を行い、2014年からいすゞ自動車株式会社と共同で次世代バイオディーゼル燃料の実用化を進める。
- 微細藻類ユーグレナから抽出した油脂を原料とした100%ユーグレナ由来のバイオディーゼル燃料を2022年11月に試製。出力やトルクにおいて、石油由来の軽油と同等の性能を発揮する。
- ユーグレナ由来のバイオ燃料10%混合ディーゼルでも価格は軽油の約8倍で、コストダウンが課題。
3. 実用化に向け、ミドリムシの品種開発と改良へ
- ユーグレナ培養液10Lから得られるオイルの熱量は約2MJに対して、抽出過程で要するエネルギーは約44MJになると試算され、オイルの抽出効率が悪くコストがかかる。
- 油の含有量が多いユーグレナを生む人為的なゲノム編集技術や大量培養させる技術が確立し、バイオディーゼル燃料を効率よく製造できることが理想。
- 技術開発企業とプラントメーカーの共同による培養プラント開発や、薬品メーカーや解析企業との共同開発により、新培養施設の開設や品種改良のスピードアップが求められる。
レポートのダウンロード
※こちらはプレビューです。ダウンロードデータは別紙をご確認ください。