小川電機では、4つの営業所に太陽光発電システムを設置しています。発電事業者として、その発電量を毎月チェックしているのですが、
天候への一喜一憂はあれども、機器性能の劣化はまだ大きく感じません。
そのよう中、とある新聞記事で「太陽光パネルの大量廃棄懸念」を知りました。
自身もシステム販売の営業経験をもつことから
保守メンテナンスを計画に織り込む重要性は理解していたものの、
将来の設備処理や環境負荷のリスクに備えは十分か、改めて問う機会となりました。
是非、本レポートをご覧ください。
1. 設備の大量廃棄、不法投棄による有害物質流出の懸念
<太陽光モジュールの行方と影響>
- 太陽光モジュールの排出は年間50~80万トンにのぼると予想される。(下記グラフ参照、2030年代予測値)
- 経年劣化による廃棄や、固定価格買取制度の満期に伴う事業終了後の放置が想定される。特定の時期に集中して設置された為、排出も同時期に大量に発生する。
- 適切な処分が行われないと、鉛、セレン、カドミウムなどの有害物質が土壌に溶け出し、環境や人体に悪影響を与える可能性がある。
→寿命を迎えた太陽光モジュールはどのように処理されるべきか
2.太陽光パネルのリユース・リサイクル
<環境ソリューションの事例>
- 太陽光パネルを事業者が適正に処理できる仕組みづくりと、リユースやリサイクルの促進が必要。
- 株式会社エヌ・ピー・シー(東京都台東区)では、リユース太陽光パネル88,054枚の買取・販売実績(2021年10月31日時点)があるように、既に市場は動きはじめている。
- 今後の課題は、有害物質発生の有無を見分ける情報や、発電事業者がリユース・リサイクルするための費用捻出であり、資源エネルギー庁はその対策を検討している。
→適正な処理には費用が掛かる、それに向けた積立ては十分か?
3. 有害物質が出ないパネルの開発と廃棄費用の捻出に向けて
<「改正再エネ特措法」の開始>
- 従来のシリコンベースに変わる新たな太陽光モジュールが研究されるが、まだ開発・実用には至っていない。
- 廃棄費用の積立てを行っている発電事業者は少ない。
- 資源エネルギー庁は、安価に率よくリサイクルできる素材の商品化と、第三者が廃棄費用を積み立てる仕組み作りを検討。
- 中古市場のためのプラットホーム作りが準備され、太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度が、2022年7月より改正再エネ特措法の下で開始される。
→「地球にやさしい再生エネ」の後処理で、環境を壊すことは罪となる